2021-05-01から1ヶ月間の記事一覧

『空間の詩学』序章Ⅸ

◆序章Ⅸ(p036-042) ようやく最終節に来た。 序章の最後の節にあたるここでは、 本書の研究範囲と本章の外観が述べられている。 〇本書で探究すること ・幸福な空間のイメージの検討(トポフィリ〈場所への愛〉) ・空想の存在の豊潤さ ・詩的イメージの現象…

『空間の詩学』序章Ⅷ

◆序章Ⅷ(p034-036) 引用〔強調部分も本文〕 「想像力を人間の本然のもっとも大きな力とみなすことを提案したい」 「現実的なものの機能は過去にまなんだ賢明な機能であり、この種のものは古典的心理学によって解明されてきた。だがわたくしがまえの著作にお…

『空間の詩学』序章Ⅶ

◆序章Ⅶ(p032-033) 引用 「知識には同じく知識をわすれる能力がともなわなければならない。不知(ノン・サヴォワール)とは無知ではなくて、知識を克服する困難な行為である。この代償によって作品はたえず一種の純粋な開始となり、創造は自由の行使となる…

『空間の詩学』序章Ⅵ

◆序章Ⅵ(p027-031) 引用〔強調部分も本文〕 「もし詩的イメージに関して、純粋昇華の領域を分離できれば、おそらく精神分析学の研究と比較して、現象学のしめる位置がさらに正確にしめせよう。この純粋昇華とは、情念の重荷をすてさり、欲望の圧力から解放…

バシュラールの難解さについて

ここまで序章を一節ずつ、半分まで読んできたが、やはりバシュラールは読みにくい。心に留まる言葉を読み込もうと思っても、周囲にいくつもの意味や思想が巻かれていて、輪郭がうやむやになっていく。序章でさえそうなのだから、本章はどうなるのか。他の人…

木原孝一 散文詩集『星の肖像』(1954年)

時計塔 僕はまだ着なれない背広を気にしながら僕の尊敬 する詩人のひとりと舗道のうえを歩いていた。 晩春の微風が頬を吹き花花のようにイルミネイションが 夜の街角を飾っていた。僕らは新しい映画や雑誌や衣裳 などについて家禽類のように話していた。ふと…

『空間の詩学』序章Ⅴ

◆序章Ⅴ(p025-026) 引用〔強調部分も本文〕 「詩的想像力についての一次的な現象学的研究においては、孤立したイメージ、これを展開するフレーズ、詩的イメージを放射する詩句、ときには節が、ことばの空間を形成する」 「この空間は地形分析(トポアナリー…

『空間の詩学』序章Ⅳ

◆序章Ⅳ(p021-024) 引用〔強調部分も本文引用〕 「このようにわたくしの研究は、純粋な想像力からうまれでてくる、根源における詩的イメージに限定し、多数のイメージの集合としての詩の構成の問題は扱わない」 「文芸評論家は、しばしば指摘されていること…

『空間の詩学』序章Ⅲ

◆序章Ⅲ(p017-020) 引用 「共鳴(レゾナンス)と反響(ルタンテイスマン)という現象学的姉妹語を鋭く感じとれる可能性がここにあることに注意しなければならない」「共鳴は世界のなかのわれわれの生のさまざまな平面に拡散するが、反響はわれわれに自己の…