『空間の詩学』序章Ⅴ

◆序章Ⅴ(p025-026)
 
引用〔強調部分も本文〕
 
「詩的想像力についての一次的な現象学的研究においては、孤立したイメージ、これを展開するフレーズ、詩的イメージを放射する詩句、ときには節が、ことばの空間を形成する」
 
「この空間は地形分析(トポアナリーズ)の方法によってきわめられなければならないだろう。たとえば J=B・ポンタリスはミシェル・レーリスを『ことばの坑道における孤独な探鉱者』としてしめす」
 
「ポンタリスはさらに『かたる主体が主体のすべてである』という公式をのべる」
 
「かたる主体はことごとく詩的イメージのなかに存在するといっても、いまでは逆説とはおもえない。なぜならば、もしかたる主体が完全に身をゆだねなければ、イメージの詩的空間にはいれないからだ」
 
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J=B・ポンタリス:1924年生まれ。フランスの精神分析学者、編集者、作家。サルトル、メルロ=ポンティ、ラカンらと親しかった。2006年には小説『兄の弟』でメディシス賞を受けている。著書『フロイト以後』(1968)、『夢と痛みの間』(1977)、『見失うこと』(1988)、ラプランシュとの共著『精神分析用語辞典』(1977、みすず書房)ほか。
 
ミシェル・レーリス(1901―1990):フランスの民族学者、作家。パリ生まれ。シュルレアリストとして出発し、エッセイ『闘牛とみなされた文学』(1935)、自伝的作品『成年』(1939)で注目され、『削除』(1948)、『装具』(1955)、『小繊維』(1966)、『かすかなざわめき』(1976)からなる『ゲームの規則』La Règle du jeuは新しい告白文学として評判となる。ほかに詩集『癲癇(てんかん)』(1943)、夢幻小説『オーロラ』(1946)、エッセイ『夜なき夜、昼なき昼』(1961)がある。
 
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要約
 
・詩の現象学的研究は2段階に分けられる。一次には、イメージ・フレーズ・詩句(ときには節)がことばの空間を形成し、二次的に現実の秩序をみて、構成上いかなる位置と役割をしめしているかを決定する。
 
・★ことばの空間を地形分析(トポアナリーズ)の方法できわめるという箇所は現時点では解読できない。地形?地図?いったん保留
 
・★『ことばの坑道における孤独な探鉱者』といわれたミシェル・レーリスの詩を読んでみたい。