『空間の詩学』序章Ⅰ

ここで、この本の読みの方向を明確にしておきたい。
究めたいのは読書感想や批評ではなく、
あくまで、この書物に書かれていることが
私自身の実際の詩作過程にどのように立ち現れるのか、
あるいはまったくかかわりない流れなのか、ということ。
そのための読みであり、学習であるということ。
楽しみです。
 
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『空間の詩学』の序章は9つに分かれている。
まずは各パート毎の、印象に残った個所を引用する。
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◆序章ーⅠ(p008-011)
 
引用
「合理主義の流れをできるかぎり厳密にたどり続けてきた哲学者は、もし詩的想像力によって提出された問題を研究しようとするならば、自分の知識をわすれさり、これまでの自己の哲学研究の習慣をことごとく放棄しなければならない。ここでは過去の教養は通用しない」
 
「詩的イメージは、霊魂(プシシムス)(*1)のおもてに突如としてうかぶ浮彫であり、定時の心理的因果性からでは正しくきわめられないものである」
 
「新しい詩的イメージと無意識の奥にねむる原型との関係についてふれなければならないが、その際この関係は、適切にいえば、因果的ではないことを説明しなければならない」
 
「詩的イメージは、その新しさ、その活動において、独自の存在、独自の活力をもつ。それは直接の存在論の一つである」
 
「詩人は彼のイメージの過去をわたくしにおしえてくれない。しかしかれのイメージはわたくしのこころのなかにたちまち根をおろす。ある特異なイメージが伝達できるということは、存在論的にたいへん重要な事実である」
 
「詩のイメージの問題を哲学的に明らかにするには、結局は想像力の現象学に到達しなければならない」
 
(*1)霊魂(プシシムス)・・・バシュラールの基本的な用語。心的現象・精神現象の総称をさしている。日本語訳では他に「心霊」と訳しているものもあるらしい。
 
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要約
・詩的イメージの研究にあたっての合理主義の哲学者の否定。
 
・特異なイメージが他人のこころに根を下ろすことができる。
→★たしかに、良質な詩は、書かれていることが体験したことでなくても手に取るように、まるで自分がその時間のその場所にいたかのような感覚になる。その感覚を得たいがために私は詩を読んで(書いて)いるとも言える。
 
・詩的イメージの瞬間的存在について。
 
・書き始めですでにこの書物の研究目的について言及している。「詩的イメージの現象の研究」を柱に進んでいくものと思われる。